改訂新版 世界大百科事典 「ミスミグサ」の意味・わかりやすい解説
ミスミグサ
Elephantopus scaber L.
旧世界の熱帯に分布するキク科の多年草。ミスミギク,イガコウゾリナの名もある。アフリカ産のものと東アジア産のものとは亜種として区別されており,東アジア産のものは基本変種ssp.scaberである。茎は直立し,高さ20~80cm,二叉分枝状に分枝する。根出葉はロゼット状で,開花時にもある。茎葉は少なく,上のものほど小さい。花期は4~12月。花は両性の筒状の4小花からなる頭花である。この頭花が3~4個,枝の先に密集し,一つの集合体となり,広卵形の3枚の苞に包まれる。日本では琉球までみられ,乾いた林縁,草地や路傍に生える。花冠は紅紫色。琉球や小笠原では花冠が白色で,本種に似たシロバナイガコウゾリナE.mollis H.B.K.がやや湿った川沿いの斜面に見られる。前種に比べて草丈はより高く1mをこえ,茎葉がよく発達する。ミスミグサと異なり,新世界の熱帯起源で,旧世界へは帰化したと考えられている。
執筆者:小山 博滋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報