改訂新版 世界大百科事典 「ミズワニ」の意味・わかりやすい解説
ミズワニ
Pseudocarcharias kamoharai
ネズミザメ目ミズワニ科の海産魚。ワニはサメを意味する。漁業者はトビツキなどと呼ぶ。世界各地の熱帯から温帯にかけての外洋域に多く,日本では中部以南の沖合域に分布する。やや深海性で水深100m以下の海中に生息する。全長1mほどにしかならない。眼が大きく,歯がきば状で,胸びれや尾びれが短いなどが特徴。英名のbigeye ragged-tooth sharkもこれによる。鰓孔(さいこう)の前方の頭部側面に白紋があったりなかったりする。近縁のシロワニCarcharias taurus(=Odontaspis taurus)はオーストラリアで人を襲うと恐れられるが,ミズワニは小型でしかも外洋性なので,今まで被害例はない。胎児が子宮に排卵された卵を食べて大きくなる卵食性の胎生で,1腹に4尾くらいの胎児を宿す。イカやタコなどの頭足類や小魚を餌とする。マグロはえなわによくかかるが,せいぜい練製品の原料として利用されるくらいである。
→サメ
執筆者:谷内 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報