改訂新版 世界大百科事典 「ミトリダテス2世」の意味・わかりやすい解説
ミトリダテス[2世]
Mithridates Ⅱ
生没年:?-前88か87
アルサケス朝パルティアの王。在位,前124か123-前88か87年。ミトラダテス2世Mithradates Ⅱともいう。ミトリダテス1世亡きあと後退をつづけてきた帝国の再建に着手。バビロニア南部のカラケネを従え,北メソポタミアに進出してアディアベネ,ゴルディエネ,オスロエネの3王国を服属させ,ドゥラ・エウロポス(ドゥラ・ユーロポス)を占領した。前1世紀初めにはアルメニア王国をパルティアの勢力下におさめ,イラン高原からユーフラテス川に至る広域支配を達成した。彼はアケメネス朝ペルシアの称号〈諸王の王〉を復活させたが,それは彼の自信のほどを示したものと言えよう。在世中,前漢武帝の使者が来訪し,前96年にはローマとの間に最初の協定が結ばれるなど,パルティアの国際的地位が確立された。しかし,末期になると王と貴族の対立が顕在化し,弟のゴタルゼス1世(在位,前91か90-前80)が帝国西部に自立して,内的分裂が深められるにいたった。
執筆者:佐藤 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報