ミナミカマイルカ(その他表記)Lagenorhynchus australis; Peale's dolphin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミナミカマイルカ」の意味・わかりやすい解説

ミナミカマイルカ
Lagenorhynchus australis; Peale's dolphin

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科カマイルカ属。最大体長記録は約 2.2m。体重は約 115kgになると考えられる。出生体長は推定約 1m。背部,吻,眼のまわり,ならびに胸鰭 (むなびれ) は黒褐色で,腹部は白色である。胸鰭前縁から口角まで黒褐色の線が1本走り,つけ根後方にもやや濃い線が1本走る。胸部がねずみ色で,胸鰭つけ根上方に黒褐色で縁どられた白色帯がある。また尾柄部から背鰭に向って白色の帯がみられる。体型はやや体高が高い紡錘形。嘴 (くちばし) は太く短い。吻部から前頭部にかけての傾斜はなだらかであるが,境は明瞭。尾柄部は尾鰭に向い急に細くなり,上下のキール (稜状の隆起) は目立たない。背鰭は体の中央に位置し,高く鎌状で,先端はとがる。上下顎骨に先端がとがった小さい円錐歯が左右 27~33対並ぶ。5~30頭の群れで行動し,非常に活発で,高速で泳ぎ,船首波や横波に乗ったり,とびはねたりする。マゼラン海峡で 10月初旬に出産した例がある。分布は南アメリカに限定され,バルパライソ以南および中央アルゼンチン南部に生息する。沿岸性で,湾,入江大陸棚に生息し,特にケルプが密生した海中林周辺を好む。フォークランド諸島周辺に多く出現する。カニ籠の餌として,マゼラン海峡やフエゴ島周辺で,突棒漁業により捕獲されている。

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