マゼラン海峡(読み)まぜらんかいきょう(英語表記)Strait of Magellan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マゼラン海峡」の意味・わかりやすい解説

マゼラン海峡
まぜらんかいきょう
Strait of Magellan

南アメリカ南端部の本土とフエゴ島とを分ける長さ583キロメートルの狭い海峡。スペイン語ではマガリャネス海峡Estrecho de Magallanesという。沿岸一帯は一部のアルゼンチン領を除き大部分がチリに属す。1520年マジェラン(マゼラン)によって発見されて以来、大西洋と太平洋を結ぶ航路として利用されてきたが、パナマ運河の開通によって重要性を失った。海峡の東半は幅がやや広く、両岸には緩く波打った平原が続くが、西半は両岸に切り立った山地が迫るフィヨルド状の狭い水路をなす。東部では最大13.5メートルに及ぶ潮差とそれによる速い潮流、西の出口付近では強い偏西風による恒常的な暴浪にみまわれるなど、航行には多くの困難が伴う。東部沿岸の平原はヒツジ放牧を行う大規模牧場(エスタンシア)地帯であるとともに、チリでもっとも重要な油田地帯でもある。海峡のほぼ中ほどに、これらの産物の積出し港としてにぎわうプンタ・アレナスがある。

[松本栄次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マゼラン海峡」の意味・わかりやすい解説

マゼラン海峡
マゼランかいきょう
Strait of Magellan

スペイン語ではマガヤネス海峡 Estrecho de Magallanes。南アメリカ南端部にある海峡。大陸部とフエゴ島を分ける細長い水路で,太平洋と大西洋を結ぶ。東の入口の北岸がアルゼンチン領であるほかは,水路,沿岸ともすべてチリに属する。全長約 550km,幅3~30km。水路は浅いV字形に大きく屈曲,東半は北東へ延びビルヘネス岬を経て大西洋へ,西半は北西へ延びデセアド岬を経て太平洋へ続く。 1520年ここを初めて航行したポルトガル人航海者 F.マゼランにちなんで命名された。両大洋を結ぶこの海峡の発見により,マゼランの率いる探検隊は最初の世界周航を達成。フィヨルドが発達し多島海が形成されている西部では水路が複雑で,また気候が寒冷で霧が多いため,航行には危険が伴うが,パナマ運河開通 (1914) までは世界貿易にとって重要な航路であった。沿岸主要港は中部大陸側のプンタアレナス

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