ミーニョ(英語表記)Minho

改訂新版 世界大百科事典 「ミーニョ」の意味・わかりやすい解説

ミーニョ
Minho

ポルトガル北西部のブラガ県とビアナ・デ・カステロ県をあわせた地方。主都はブラガ。おおむね北のミーニョ川(スペインとの国境河川)と南のアベ川に挟まれた地域で,国土の5.4%を占め,面積4928km2,人口95万4253(1980)。人口密度は高い(194人/km2)。沿岸の平野部を除くほとんどが山地で,内陸では600~1400mの山脈がほぼ東西に並行していくつも走っている。国内で最も降水量が多く,年間降水量は山間部で3000mm,ブラガで1463.5mm。大西洋岸ではビアナ・デ・カステロを筆頭に漁業も盛んで,おもにタライワシが水揚げされる。内陸では伝統的な小土地所有に基づく農牧業が行われ,同国北部に特有のパン(ブロア)の原料となるトウモロコシが主要産物。未熟ブドウで作るブドウ酒(ビニョ・ベルデ)は同地方の名産。早くからキリスト教化が進み,伝統的に教会の力が強い。ポルトガル建国当時の中核となった地域で,住民の地域感情が強いといわれる。文化的にスペインのガリシア地方と共通する面も多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のミーニョの言及

【色】より

…新しい材料や新しい技法の登場は,それだけ豊かな色彩表現を可能ならしめる。イベリア半島から産出される辰砂は,すでに古代においてギリシア人やローマ人たちによって利用され,主としてミニウスMinius川(現,ミーニョMinho川)のほとりで得られるところから〈ミヌスminus〉または〈ミニウムminium〉と呼ばれる独特の豊麗な赤を生み出した。そのミヌスで彩色することを〈ミニアーレminiare〉と呼んだが,この手法が中世の写本装飾に広く用いられて,やがてミニアチュールminiatureというジャンルが確立されることになる。…

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