ムシャッター宮殿(読み)ムシャッターきゅうでん(その他表記)Qaṣr al-Mshattā

改訂新版 世界大百科事典 「ムシャッター宮殿」の意味・わかりやすい解説

ムシャッター宮殿 (ムシャッターきゅうでん)
Qaṣr al-Mshattā

ヨルダンアンマーンの南東約41kmに残るウマイヤ朝の城砦風宮殿。カリフ,ワリード2世(在位743-744)によって建造(一部未完成)。一辺145mの正方形プランで,ウマイヤ朝宮殿建築としては,バールベク南西のアンジャールAnjār宮殿に次ぐ規模を誇る。宮殿は東西に3分割,さらに中央部は南北に3分割され,その最奥部にはバシリカ風の三弁形の〈玉座の間〉が設けられている。外壁(煉瓦,石)は塔で補強されているが,とくに同宮殿の名を高めたのはイスラム時代初期の文様の発達を示す南側ファサード石灰岩。現在,ベルリン国立博物館に復元)の浮彫装飾である。ファサードの装飾要素は基本的に唐草文であるが,入口右側のモスクに隣接した部分には,細かい幾何文などの抽象性の強い文様,左側には鳥獣文などの写実的な文様が全面にすきまなく展開している。
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