改訂新版 世界大百科事典 「ムラサキクルマナマコ」の意味・わかりやすい解説
ムラサキクルマナマコ (紫車海鼠)
Polycheira rufescens
ナマコ綱クルマナマコ科の棘皮(きよくひ)動物。本州中部以南の各地,フィリピン,オーストラリアに広く分布し,潮間帯の小石まじりの磯に群生する。体が紫色で,皮膚の下にある骨片が車輪の形をしているところからこの名がある。体は円筒形でやわらかく,長さ15cmに達する。全身が濃い暗紫色から暗褐色で,体の前端にある触手がもっとも濃いが,なかには鮮赤色や白いものもある。触手は17~19本で,18本のものが多く,先端に8~16対の小枝をつける。大小の輪状骨片が集まってできた白くて小さい輪いぼが体の全面に散在していて,肉眼でもよく見える。この輪いぼでは中心にある骨片は小さく,周辺の骨片がもっとも大きい。またC字状の骨片も体表全面にまばらに散らばっている。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報