肉眼(読み)にくがん

精選版 日本国語大辞典 「肉眼」の意味・読み・例文・類語

にく‐がん【肉眼】

〘名〙
肉体にそなわっている目。眼鏡望遠鏡顕微鏡などを用いない生来のままの目。
サントスの御作業(1591)二「コノ ゴカッセン ヲ フジャウ ナル nicugan(ニクガン)ヲモッテ、ケンブツ セン ト セバ」
浄瑠璃・聖徳太子絵伝記(1717)真の立花「見くだすつら魂、肉眼(ニクガン)のゐにおされ」 〔隋煬帝‐謝義疏書〕

にく‐げん【肉眼】

〘名〙 (「げん」は「眼」の呉音) 仏語人間の肉体にそなわり、さえぎるもののない可視的なものだけを見ることができる凡夫の目。三眼または五眼一つ。にくがん。
経国集(827)一〇・扈従梵釈寺応制〈三原春上〉「宍眼今看真如理」 〔文明本節用集(室町中)〕 〔無量寿経‐下〕

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デジタル大辞泉 「肉眼」の意味・読み・例文・類語

にく‐がん【肉眼】

肉体にそなわっている目。望遠鏡・顕微鏡などを用いない生来の視力。「肉眼では見えない星」
にくげん(肉眼)

にく‐げん【肉眼】

仏語。五眼の一。人間の肉体に備わっている目。凡夫の目。にくがん。

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普及版 字通 「肉眼」の読み・字形・画数・意味

【肉眼】にくがん

生来の眼。また、凡眼。唐・盧仝〔金鵝山人沈師魯に贈る〕詩 らず、天上の書 小儒安(いづく)んぞ敢て奧祕(あうひ)を窺はん

字通「肉」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の肉眼の言及

【肉】より

…心ないし精神に決定的な優位性をおく肉との二元論がここにもうかがわれる。また,拡大したりより精確に見るための装置を用いずに物を見る際に言う〈肉眼〉は〈心眼〉と二元的に対立する意味を含むが,もとは〈肉眼(にくげん)〉として〈天眼(てんげん)〉〈慧眼(えげん)〉〈法眼(ほうげん)〉〈仏眼(ぶつげん)〉とともに仏教でいう五眼(ごげん)の一つである。物事を皮相にしか見ることができない肉眼とその他の四眼との比較の中にも肉の劣位が示されている。…

※「肉眼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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