改訂新版 世界大百科事典 「メガクレス」の意味・わかりやすい解説
メガクレス
Megaklēs
アテナイの名門アルクメオニダイに属する政治家。同名の4人が知られる。(1)前630年以前にキュロンとその仲間が僭主政樹立を目ざしてアクロポリスを占拠した時,アルコンとして市民とともにこれを包囲し,欺いてキュロンらを殺した人物。そのためこの一門は〈汚れもの〉として一時アテナイから追放された。(2)その子アルクメオンの子メガクレスは,シキュオンの僭主クレイステネスの娘アガリステをめとり,ソロンの改革後の前6世紀のアテナイの三党分立抗争の時代には〈海岸党〉をひきいてソロンの政治を維持しようとした。最も民主的と思われたペイシストラトスが〈山地党〉をひきいて僭主政を樹立すると(前561),メガクレスは〈平地党〉の指導者リュクルゴスと協力して5年後にペイシストラトスを追放したが,それでも党争のやまぬのをみると,娘をめとることを条件にペイシストラトスと妥協してこれを帰国させた。しかしこの妥協が壊れて,僭主派が亡命し,前546年ごろパレネの戦で僭主派が大勝すると,メガクレスは亡命したが,その後の運命はわからない。(3)その子クレイステネスの子メガクレスは,有名なアルキビアデスの母の父となった。(4)クレイステネスの兄弟ヒッポクラテスの子メガクレスはペリクレスの母方の祖父となり,前487か486年オストラキスモスによって追放された。
執筆者:太田 秀通
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報