ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メシア秘密」の意味・わかりやすい解説 メシア秘密メシアひみつdas Messiasgeheimnis ドイツの聖書学者 W.ウレーデがその著『福音書におけるメシア秘密』 (1901) のなかで唱えた『マルコによる福音書』解釈上の学説。マルコによれば,イエスは自己のメシアであることを秘密にするように命じているが (1・25,3・11~,8・30,9・30) ,ウレーデはこの記述を歴史的事実ではなく,のちの教会がイエスをメシアとする信仰とメシア性について語らないイエス伝承との間にある矛盾を埋めるために創出したものであると説明した。この学説は,『マルコによる福音書』を歴史に忠実な記述とする見方を批判したもので,のちの聖書学の発展に大きな影響を及ぼした。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by