メトロポリタン生命保険会社(読み)メトロポリタンせいめいほけん(英語表記)Metropolitan Life Insurance Co.

改訂新版 世界大百科事典 の解説

メトロポリタン生命保険[会社] (メトロポリタンせいめいほけん)
Metropolitan Life Insurance Co.

アメリカのトップクラスの生命保険会社。本社ニューヨーク。1868年,ニューヨークでナショナル・トラベラーズ保険会社National Travelers Insurance Co.(1866設立)の生命保険部門を分離する形で設立された。79年に簡易生命保険専門会社となり,月掛け型の労働者向け小口保険の分野で市場を拡大,19世紀末には先発プルーデンシャル保険会社をしのぐに至った。また93年にピープルズ・インダストリアル生命保険会社を合併して以降各地の生命保険会社を統合,1909年には業界トップとなった。そのころの三大生命保険会社,ミューチュアル生命保険会社,エクイタブル生命保険会社,ニューヨーク生命保険会社が証券投資の不健全性を批判され,衰えるなかで,メトロポリタン生命保険会社は,工業化の進展とともに増加した労働者層の余剰資金を吸収し,普通保険,団体保険などに事業を拡大,20年代にはプルーデンシャル保険会社とともに寡占体制を築いた。その間,1914年には大株主の支配を排除するため,会社組織を株式会社から相互会社にした。成長の期待される新興自動車産業石油産業の証券引受けなどを活発に行った。30年代に入るとニューヨークのロックフェラー・センターの建設資金を全額引き受けたことにより,ロックフェラー・グループとの結びつきが深まった。その後,アメリカ最大の生命保険会社の地位を保っていたが,保守的な投資方針などの影響で,74年プルーデンシャル保険会社に首位の座を明け渡した。83年にはアメリカ第2位の投資顧問会社ボストン・ステート・ストリート社を買収するなど,総合金融サービス業への転換を図っている。総資産1792億ドル(1995年12月)。
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