もぞ(読み)モゾ

デジタル大辞泉 「もぞ」の意味・読み・例文・類語

も‐ぞ

[連語]係助詞「も」+係助詞「ぞ」》
「も」を強調する意を表す。…だって。…でさえ。
「岩根さくみてなづみし良けく―なき」〈・二一三〉
好ましくない結果を予想し、気がかりに思う気持ちを表す。…すると大変だから。…するといけないから。→もこそ
「憎しとなおぼし入りそ。罪―得給ふ」〈総角

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精選版 日本国語大辞典 「もぞ」の意味・読み・例文・類語

も‐ぞ

  1. ( 係助詞「も」「ぞ」の重なったもの。「もそ」とも ) 体言および体言と同資格の語や副詞を受ける。
  2. ( 「も」と「ぞ」とが単に重なっただけのもの ) 上に来る語と述語との結合を強調する。
    1. [初出の実例]「立ちて思ひ居て毛曾(モソ)思ふ紅の赤裳裾引き去にし姿を」(出典万葉集(8C後)一一・二五五〇)
  3. ( 慣用的表現となるもの ) 推量助動詞を用いないで将来をおしはかる意を表わし、順接の余情をもつ、中古以降の用法。…かもしれないから。→補注
    1. [初出の実例]「さかしらする親ありて、思ひもぞつくとて」(出典:伊勢物語(10C前)四〇)
    2. 「柴の戸の跡みゆばかりしほりせよ忘れぬ人はかりにもそとふ〈藤原定家〉」(出典:正治初度百首(1200)山家)

もぞの補助注記

の用法のほとんどは将来の事態を危ぶむ場合に用いられるが、挙例の「正治初度百首」のように将来の事態を期待する場合もある。また、同様の意を表わすものに「もこそ」がある。→もこそ

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