もこそ(読み)モコソ

デジタル大辞泉 「もこそ」の意味・読み・例文・類語

も‐こそ

[連語]係助詞「も」+係助詞「こそ」》
「も」を強調する意を表す。…だって。…でさえ。…でも。
「げにあさましう、月日―あれ」〈澪標
好ましくない結果を予想して、気がかりに思う気持ちを表す。…すると大変だから。…するといけないから。→もぞ
食物くひものに目とどめ給ふと、ものいひさがなき女房―言ひなせ」〈横笛

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「もこそ」の意味・読み・例文・類語

も‐こそ

  1. ( 係助詞「も」「こそ」の重なったもの ) 体言副詞・活用語の連用形を受ける。
  2. ( 「も」と「こそ」が単に重なっただけのもの )
    1. (イ) 「も」を強調する。
      1. [初出の実例]「〈本〉舎人こそ憂(う) 後こそ憂 〈末〉われ毛古曾(モコソ)憂 後こそ憂」(出典神楽歌(9C後)早歌)
    2. (ロ) 逆接の意をもって下に続く。→補注( 1 )
      1. [初出の実例]「かくさける花もこそあれわがために同じ春とやいふべかりける」(出典:大和物語(947‐957頃)三七)
  3. ( 慣用的表現となるもの ) 推量助動詞を用いないで将来をおしはかる意や、気がかりに思う意を表わす。…かもしれないから。…といけないから。→補注( 2 )
    1. [初出の実例]「いざ桜散らばありなむひとさかりなれなば憂き目見えもこそすれ」(出典:小式部内侍本伊勢物語(10C前)O)
    2. 「兵衛佐殿流人でおはすれどもすゑたのもしき人なり、もし世に出てたづねらるる事もこそあれ」(出典:平家物語(13C前)一二)

もこその補助注記

( 1 )(ロ)用法は「もこそあれ」の形をとることが多い。→こそあれ
( 2 )の用法のほとんどは将来の好ましくない事態を危ぶむ場合なので、「…といけないから」と訳されることが多いが、「平家」例のように将来を期待する場合もある。また、同様の意を表わすものに「もぞ」がある。→もぞ

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