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余情 ヨジョウ

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デジタル大辞泉の解説

よ‐じょう〔‐ジヤウ〕【余情】

あとまで残っている、印象深いしみじみとした味わい。よせい。「旅の余情にひたる」
詩歌などで、表現の外に感じられる趣。特に、和歌・連歌・俳諧などで尊重された。よせい。

よ‐せい【余情】

[名・形動ナリ]
よじょう(余情)」に同じ。
「勅使は花の都人、もてなしに―うすし」〈浄・本朝三国志〉
同情のおこぼれ。また、わずかな謝礼。
「わづかな弟子衆の―や、わが身の働きで」〈浄・河原達引
《「僭上(せんじょう)」を「せじょう」と略し、同音の「世情」の字を当て、それをさらに湯桶(ゆとう)読みをしたものの当て字という》体裁を飾ること。みえを張ること。また、そのさま。
「―なる商ひばなし」〈浮・諸艶大鑑・三〉

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世界大百科事典 第2版の解説

よじょう【余情】

近世までの読み癖では〈よせい〉。言語表現などにおのずからなごりとしてただよう芸術的香気や情趣。〈余韻〉などともいう。すでに中国詩論に用例を見るが,日本でも,〈其情有余〉(《古今集》真名序),〈詞標一片,義籠万端〉(壬生忠岑《和歌体十種》余情体),〈あまりの心さへあるなり〉(藤原公任和歌九品》上品上)など,歌体の一つまたは最高の歌の条件とされ,歌論などで重視されている。平安時代,すでに〈余情幽玄体〉(藤原宗忠作文大体》)という言葉も見えるが,〈なにとなく艶にも幽玄にもきこゆる〉(《慈鎮和尚自歌合》跋)など藤原俊成により自覚された幽玄理念や,〈余情妖艶体〉(《近代秀歌》)などという定家の和歌理念も,余情表現を本性としている。

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大辞林 第三版の解説

よじょう【余情】

〔「よせい」とも〕
物事のあとにも、心に残って消えない情緒。言外の情趣。
表現に直接は表されず、その背後に感じられる気分・情調。特に、和歌・連歌・俳諧などで尊重した。

よせい【余情】

〔「せい」は漢音〕
余情よじよう 」に同じ。
同情のおこぼれ。余り。 「僅かな弟子衆の-やわが身の働きでこの養生がなるものかと/浄瑠璃・近頃河原達引」
外見を飾ること。見えをはること。 「いたづらなる-、大人もはづかしく/浮世草子・一代男 1

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

余情
よじょう

「よせい」「あまりの心」ともいう。言外の情趣。『古今(こきん)集』序では表現と内容との間の不調和と考えられているが、壬生忠岑(みぶのただみね)の『和歌体十種(わかのていじっしゅ)』の「余情体」を経て藤原公任(きんとう)(966―1041)の『九品和歌(くほんわか)』に至り、完成された表現のもつ一属性としてとらえられる。平安末期、詩的言語についての自覚が高まり、ことばの映像や情調を意図的に重層させる手法が現れ、新古今歌風の母胎となるが、その特色を藤原俊成(しゅんぜい)(1114―1204)は「あまりの心」、藤原定家(ていか)(1162―1241)は「余情妖艶(ようえん)」とよんでいる。その後この系統の余情は、定家偽書の『三五記(さんごき)』などを経て正徹(しょうてつ)(1381―1459)、心敬(しんけい)(1406―75)に至り、最高の歌体である「幽玄体」の特色とされた。すなわち「言い残して理(ことわり)なき」表現のもつ効果であるが、一方、二条為世(ためよ)(1251―1338)は逆に平明な表現のなかに、また冷泉(れいぜい)派の今川了俊(りょうしゅん)(1326?―1420?)もありのままの描写すなわち「見様体(けんようのてい)」において、それぞれ深い感情や情調の流露することを余情とみている。その後二条派が歌壇主流となるにしたがい、為世風の説が一般的となった。[田中 裕]

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世界大百科事典内の余情の言及

【余情】より

…〈余韻〉などともいう。すでに中国詩論に用例を見るが,日本でも,〈其情有余〉(《古今集》真名序),〈詞標一片,義籠万端〉(壬生忠岑《和歌体十種》余情体),〈あまりの心さへあるなり〉(藤原公任《和歌九品》上品上)など,歌体の一つまたは最高の歌の条件とされ,歌論などで重視されている。平安時代,すでに〈余情幽玄体〉(藤原宗忠《作文大体》)という言葉も見えるが,〈なにとなく艶にも幽玄にもきこゆる〉(《慈鎮和尚自歌合》跋)など藤原俊成により自覚された幽玄理念や,〈余情妖艶体〉(《近代秀歌》)などという定家の和歌理念も,余情表現を本性としている。…

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