日本大百科全書(ニッポニカ) 「モリブデートオレンジ」の意味・わかりやすい解説
モリブデートオレンジ
もりぶでーとおれんじ
molybdate orange
クロム酸鉛PbCrO4のクロムを一部分モリブデンと硫黄(いおう)とで置換した組成Pb(Cr,Mo,S)O4の正方晶固溶体からできている非常に鮮明な赤橙(せきとう)色顔料で、PbCrO4、モリブデン酸鉛PbMoO4、硫酸鉛PbSO4の含有率はモル比でだいたい25対4対1。製法はクロム酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム各水溶液を硝酸鉛水溶液に加え反応させ、水素イオン濃度(pH)を調節しながら攪拌(かくはん)を続け、水溶液中でPb(Cr,Mo,S)O4系固溶体を生成させる。この固溶体が生成するにしたがい、沈殿の色調は赤みを帯びてくる。所期の色調になるまでこの操作を行い、安定剤を添加し、濾過(ろか)、水洗する。塗料、印刷インキ、プラスチックの着色剤に用いられる。
[大塚 淳]