普通、クロム酸鉛(Ⅱ)をいう。天然に紅鉛鉱として産出する。酢酸鉛(Ⅱ)や硝酸鉛(Ⅱ)の水溶液に水溶性のクロム酸塩または二クロム酸塩を加えると沈殿として得られる。黄色結晶。少量の不純物を含むものは黒みや赤みを帯びている。水にはほとんど溶けないが、アルカリには亜鉛酸塩MI2PbO2をつくって溶ける。酸にも溶け、硫化水素で黒色となるが、光、空気に対しては安定である。黄色顔料として知られる黄鉛(クロムエロー)の主成分である。また、炭素・水素の元素分析に際し、燃焼ガス中から硫黄(いおう)の酸化物を除くため酸化銅と混ぜて用いられる。
[守永健一・中原勝儼]
PbCrO4(323.20).ベニエン(紅鉛)鉱(crocoite)として天然に産出する.クロム酸塩,または二クロム酸塩水溶液に鉛(Ⅱ)塩(酢酸塩,硝酸塩など)の水溶液を加えると得られる.沈殿直後には斜方晶系であるが,徐々に安定な単斜晶系にかわる.単斜晶系のものは黄色の結晶.密度約6.1 g cm-3.高温では正方晶系のものになる.融点844 ℃.融点以上では分解して O2 を発生する.水にほとんど不溶.黄色の顔料(クロムイエロー,黄鉛(おうえん))として広く用いられる.また,紺青との混合物も緑色の顔料で,クロムグリーンといわれる.アルカリ性水溶液で硝酸鉛(Ⅱ)とクロム酸ナトリウムとを混合煮沸すると,赤橙色のPbCrO4・PbOが沈殿する.これはクロムレッドとよばれ,顔料として用いられる.有毒.[CAS 7758-97-6]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
化学式PbCrO4。天然には紅鉛鉱として産する。黄色,単斜晶系の結晶。通常,塩基性塩が混入して赤色ないし赤黒色となっていることが多い。融点844℃(分解),比重6.12,屈折率2.42。水に不溶。酸,アルカリに可溶。硝酸鉛または酢酸鉛の水溶液にクロム酸塩水溶液を加えると沈殿する。黄鉛あるいはクロムイェローと称して黄色顔料として広く用いられる。
→クロムイェロー
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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