日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロム酸鉛」の意味・わかりやすい解説
クロム酸鉛
くろむさんなまり
lead chromate
普通、クロム酸鉛(Ⅱ)をいう。天然に紅鉛鉱として産出する。酢酸鉛(Ⅱ)や硝酸鉛(Ⅱ)の水溶液に水溶性のクロム酸塩または二クロム酸塩を加えると沈殿として得られる。黄色結晶。少量の不純物を含むものは黒みや赤みを帯びている。水にはほとんど溶けないが、アルカリには亜鉛酸塩MI2PbO2をつくって溶ける。酸にも溶け、硫化水素で黒色となるが、光、空気に対しては安定である。黄色顔料として知られる黄鉛(クロムエロー)の主成分である。また、炭素・水素の元素分析に際し、燃焼ガス中から硫黄(いおう)の酸化物を除くため酸化銅と混ぜて用いられる。
[守永健一・中原勝儼]