黄鉛(読み)オウエン(その他表記)chrome yellow

デジタル大辞泉 「黄鉛」の意味・読み・例文・類語

おう‐えん〔ワウ‐〕【黄鉛】

クロム酸鉛主成分とする、代表的な黄色顔料。印刷インク・プラスチック着色などに使用クロムイエロー

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精選版 日本国語大辞典 「黄鉛」の意味・読み・例文・類語

おう‐えんワウ‥【黄鉛】

  1. 〘 名詞 〙 クロム酸鉛を主成分とする黄色顔料配合によって黄色、橙黄色橙色、黄橙色、赤橙色などが得られる。耐光性はよいが、酸、アルカリにやや弱い。塗料印刷インキ油絵の具クレヨンなどに用いる。クロムイエロー。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄鉛」の意味・わかりやすい解説

黄鉛
おうえん
chrome yellow

クロム酸鉛(Ⅱ)PbCrO4を主成分とする顔料で、クロムエローともいう。生産量は有色顔料中カーボンブラック、べんがらに次ぎ、主要な顔料である。色調は製法組成により淡黄から橙赤(とうせき)まである。

 製法は、一酸化鉛を硝酸に溶かして硝酸鉛とし、これに黄鉛10Gおよび黄鉛5Gの場合は二クロム酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの水溶液を加えPb(SCr)O4の固溶体を生成させる。黄鉛Gはクロム酸鉛(Ⅱ)からできている。結晶構造も、硫酸鉛(Ⅱ)側の黄鉛10Gでは斜方晶、クロム酸鉛(Ⅱ)側の黄鉛5Gおよび黄鉛Gでは単斜晶となる。黄鉛Rはクロム酸鉛(Ⅱ)にアルカリ水溶液を加えて加熱すると得られ、PbO・PbCrO4の組成と考えられているが、X線分析では試料によりPbO・PbCrO4と一致する回折ピークを示すものや、異なった回折パターンを示すものもあり、アルカリ処理の条件により、ある程度組成に変化があると推定される。

 黄鉛5Rの組成は黄鉛Rと同じで、粒子の大きさが違う。分光反射率曲線も黄鉛10G→5G→G→黄鉛Rの順に、紫外部からの吸収がしだいに強く可視部に食い込み、10Gの緑によった黄から5G、黄鉛Gの黄、さらに吸収が約520ミリミクロンの緑の部分まで食い込んでいる黄鉛R、黄鉛5Rでは黄橙色から橙色になる。塗料、印刷インキ、プラスチックの着色に用いられる。

[大塚 淳]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黄鉛」の意味・わかりやすい解説

黄鉛
おうえん
chrome yellow

クロム酸鉛 PbCrO4 を主成分とする黄色単斜晶系結晶。融点 844℃。顔料。天然には紅鉛鉱 (べにえんこう) として産出する。硝酸鉛,酢酸鉛の溶液と二クロム酸カリウムやソーダ溶液を加えてつくる。色相は淡黄色ないし橙色で種類が多く,紺青 (鉄青) と混合した緑色系統のものもある。また硫化水素で黒色,アルカリで赤色に変化する。用途は錆止め塗料。

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改訂新版 世界大百科事典 「黄鉛」の意味・わかりやすい解説

黄鉛 (おうえん)

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百科事典マイペディア 「黄鉛」の意味・わかりやすい解説

黄鉛【おうえん】

クロムイエロー

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世界大百科事典(旧版)内の黄鉛の言及

【クロムイェロー】より

…黄鉛ともいわれる黄色無機顔料。主成分がクロム酸鉛PbCrO4であるクロムイェローGのほか,クロム酸鉛と硫酸鉛PbSO4を主成分とする緑色調のクロムイェロー10G,5G,クロム酸鉛と酸化鉛(II)PbOとが結合した塩基性クロム酸鉛を主成分とする橙色調のクロムイェローR,5Rなどもある。…

【クロム酸鉛】より

…硝酸鉛または酢酸鉛の水溶液にクロム酸塩水溶液を加えると沈殿する。黄鉛あるいはクロムイェローと称して黄色顔料として広く用いられる。クロムイェロー【中原 勝儼】。…

※「黄鉛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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