クロム酸鉛(Ⅱ)PbCrO4を主成分とする顔料で、クロムエローともいう。生産量は有色顔料中カーボンブラック、べんがらに次ぎ、主要な顔料である。色調は製法、組成により淡黄から橙赤(とうせき)まである。
製法は、一酸化鉛を硝酸に溶かして硝酸鉛とし、これに黄鉛10Gおよび黄鉛5Gの場合は二クロム酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの水溶液を加えPb(SCr)O4の固溶体を生成させる。黄鉛Gはクロム酸鉛(Ⅱ)からできている。結晶構造も、硫酸鉛(Ⅱ)側の黄鉛10Gでは斜方晶、クロム酸鉛(Ⅱ)側の黄鉛5Gおよび黄鉛Gでは単斜晶となる。黄鉛Rはクロム酸鉛(Ⅱ)にアルカリ水溶液を加えて加熱すると得られ、PbO・PbCrO4の組成と考えられているが、X線分析では試料によりPbO・PbCrO4と一致する回折ピークを示すものや、異なった回折パターンを示すものもあり、アルカリ処理の条件により、ある程度組成に変化があると推定される。
黄鉛5Rの組成は黄鉛Rと同じで、粒子の大きさが違う。分光反射率曲線も黄鉛10G→5G→G→黄鉛Rの順に、紫外部からの吸収がしだいに強く可視部に食い込み、10Gの緑によった黄から5G、黄鉛Gの黄、さらに吸収が約520ミリミクロンの緑の部分まで食い込んでいる黄鉛R、黄鉛5Rでは黄橙色から橙色になる。塗料、印刷インキ、プラスチックの着色に用いられる。
[大塚 淳]
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…黄鉛ともいわれる黄色無機顔料。主成分がクロム酸鉛PbCrO4であるクロムイェローGのほか,クロム酸鉛と硫酸鉛PbSO4を主成分とする緑色調のクロムイェロー10G,5G,クロム酸鉛と酸化鉛(II)PbOとが結合した塩基性クロム酸鉛を主成分とする橙色調のクロムイェローR,5Rなどもある。…
…硝酸鉛または酢酸鉛の水溶液にクロム酸塩水溶液を加えると沈殿する。黄鉛あるいはクロムイェローと称して黄色顔料として広く用いられる。クロムイェロー【中原 勝儼】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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