改訂新版 世界大百科事典 「モロトピテクス」の意味・わかりやすい解説
モロトピテクス
Morotopithecus
ウガンダ東部のモロトで発見されたチンパンジー程度の大きさの化石類人猿。放射年代は2060万年前とされている。モロトピテクス・ビショッピM.bishopi1種を含む。1960年代に正模式標本である上顎骨が,地質学者W.W.ビショップによって発見され,97年にD.ジボらによって追加資料と共に記載された。上顎骨と同時期に発見された腰椎には,現生類人猿的特徴がみられ,現生類人猿の懸垂運動起源が前期中新世にさかのぼると主張されたが,この類似は平行進化である可能性もある。歯の形態は,1700万年前のアフロピテクスAfropithecusと非常に類似し,モロトピテクスの記載以前,モロトピテクスの上顎をアフロピテクスとする意見も強かった。動物相の比較から,アフロピテクスと同時代であると主張する意見も出されている。年代,系統的位置づけをめぐり議論が続いている。
執筆者:中務 真人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報