ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モーイエン」の意味・わかりやすい解説
モーイエン(莫言)
モーイエン
Mo yan
中国の作家。本名管謨業。Mo Yenとも記す。ウィリアム・C.フォークナーやガブリエル・ガルシア・マルケスの影響を受けた,奇怪な描写を多用する幻想的な作風と幻覚的なリアリズムで知られる。文化大革命により小学校を退学し,農場労働者,工場労働者を経て,1976年に中国人民解放軍に入隊した。1981年からペンネーム莫言(言うことなかれの意)で執筆を始めた。1984~86年中国人民解放軍のアカデミーで文学を学び,山東省高密に生きた家族の歴史を描いた長編『紅い高梁(こうりゃん)』(1986)で高い評価を得た。同作品は,チャン・イーモウ(張芸謀)監督の映画『赤いコーリャン』(1987)の原作となった。ほかに,長編『酒国―特捜検事丁鈎児(ジャック)の冒険』(1992),『豊乳肥臀(ほうにゅうひでん)』(1995),『白檀の刑』(2001),『蛙鳴(あめい)』,作品集『透明な人参』(1986),『爆炸』(1988),『歓楽十三章』(1989)など。大江健三郎,三島由紀夫,水上勉の影響も受けたという。2012年,中国国籍の作家として初のノーベル文学賞を受賞した。(→中国文学)
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