人参(読み)にんじん

精選版 日本国語大辞典「人参」の解説

にん‐じん【人参】

[1] 〘名〙
※続日本紀‐天平一一年(739)一二月戊辰「上其王啓并方物。〈略〉附大虫皮羆皮各七張、豹皮六張、人参三十斤、蜜三斛進上」 〔日本植物名彙(1884)〕
セリ科の二年草。ヨーロッパ原産と考えられ、日本には中国から伝わり、古くから栽培されている主要な野菜の一つ。高さ一~一・五メートル。根は肥厚し倒円錐形で橙黄色を帯び、比較的短根のものと、長根のものとがある。葉は長柄をもち羽状複葉で数回分裂、終裂片は披針形で縁に鋸歯(きょし)がある。夏、多数の白いごく小さな五弁花からなる大きな複散形花序を出す。総苞は葉状で分裂する。果実は長さ三ミリメートルぐらいの長楕円形で多くのとげがある。根は芳香と甘味があり食用にされ、また若葉も食べられる。三寸、滝野川、金時など多数の品種がある。漢名、胡蘿蔔。なにんじん。はにんじん。せりにんじん。《季・冬》
▼にんじんの花 《季・夏》
※俳諧・七柏集(1781)次韻の頃「葫蘿(ニンジン)の緋威蘿蔔(だいこん)の卯花威(おどし) 元服いはふ台の数々」
[2] (原題Poil de Carotte) 小説。ルナール作。一八九四年刊。そばかすと赤毛のため「にんじん」と呼ばれ、父とうちとけず母にも可愛がられなかった少年が、ふとしたことから父としみじみ語り合い、愛にめざめる物語。一九〇〇年一幕物としてルナール自身劇化し、アントアーヌ劇場で初演。
[語誌](1)古くは①のように専ら薬用の朝鮮人参を指していた。野菜としての②の、日本伝来は「多識編」(一六三一)に記載されているところから、一六〇〇年頃かと思われる。
(2)「多識編‐三」には「胡蘿蔔 今案世利仁牟志牟」とあり、当初はその葉がセリに似ているところからセリニンジンと呼ばれたことがわかる。
(3)セリニンジンが一般化すると、こちらが単に人参と呼ばれるようになり、薬用人参の方は「高麗人参」「朝鮮人参」等の名称が与えられた。

ねん‐じん【人参】

〘名〙 「にんじん(人参)」の変化した語。
※洒落本・男倡新宗玄々経(1751‐64頃)「此間〈略〉お客がねんじんを香七に大かた三盃ほどくれてであったけれど」

かのにけ‐ぐさ【人参】

〘名〙 (「かのにげぐさ」とも) 植物「にんじん(人参)」の古名。〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典「人参」の解説

にんじん【人参】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥したもの。朝鮮人参高麗(こうらい)人参ともよばれる。鎮静降圧強壮強精抗疲労利尿などの効果がある。胃腸炎つわり消化性潰瘍(かいよう)に効く人参湯(とう)虚弱体質貧血病後の体力低下に効く人参養栄(ようえい)湯不眠症精神不安神経症に効く加味帰脾(かみきひ)湯などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

デジタル大辞泉「人参」の解説

にん‐じん【人参】

セリ科の越年草は高さ約1メートルになり、葉は細かく裂ける。根は太く、地中にまっすぐ伸び、黄橙色。カロテンを含む代表的な野菜で、根のほか若葉も食用になる。初夏、白い小花を多数つける。名は、チョウセンニンジンに似ていることに由来。ヨーロッパから西アジアの原産。 冬》
チョウセンニンジンの別名。

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動植物名よみかた辞典 普及版「人参」の解説

人参 (ニンジン)

学名Daucus carota
植物。セリ科の越年草,園芸植物,薬用植物

人参 (ニンジン)

学名:Panax ginseng
植物。ウコギ科の多年草

人参 (カノニケグサ・カノニゲグサ)

植物。薬用人参の古名

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典内の人参の言及

【漢方薬】より

…ある生薬の薬効が配合される相手の生薬の性質によってまったく変わることがあるのもこのためである。 現代薬学の立場からも漢方の配合原理について研究されており,薬用人参(にんじん)などサポニン含有生薬が他の生薬の有効成分の吸収を著しく促進すること,苦味の強い黄連の成分が甘草の成分と分子化合物を形成して苦味を消失することなど,製剤学的合理性が証明されている。また,薬効面でも,実験胃潰瘍に対する三黄瀉心湯(さんおうしやしんとう)の作用が黄連を主薬として,他の成分がこれを助けていること,芍薬甘草湯の筋緊張緩和作用が,芍薬と甘草の緊密な薬理学的協力作用によっていることなど,配合理論の合理性の一面が解明されている。…

【チョウセンニンジン(朝鮮人参)】より

…根を薬用とすることで著名なウコギ科の多年草。ヤクヨウニンジン(薬用人参)とも呼ばれ,江戸幕府の薬園に栽培したのでオタネニンジン(御種人参)ともいう。また単にニンジンともいうが,野菜のニンジン(人参)とはまったく別種である。…

【薬用植物】より

…日本では通常,薬用植物の栽培はコスト高で経済的に採算の合わないものが多いようである。そのなかで生薬として高価な人参(オタネニンジン)は栽培しても採算がとれている。しかし多くの生薬は中国からの輸入品が安価なため栽培が成り立たない。…

※「人参」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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