改訂新版 世界大百科事典 「ヤノアマ」の意味・わかりやすい解説
ヤノアマ
Yanoama
ベネズエラ南部およびブラジル北部の,オリノコ川最上流域に住むインディオ。人口は2万数千人(うちブラジル側約9000人)と推定される。他称,蔑称,地域集団名称のワイカ,シリアナ,サネマ等さまざまな名で知られており,ヤノアマは言語集団としての統一名称である(ブラジルではおもにヤノマミYanomamiが民族名として用いられる)。ヤノアマ語は現在,独立語として扱われているが,カリブ語系との関連も考えられている。白人との接触は1950年代であり,そのため原住民の文化,人口は比較的よく保持されてきた。弓矢による狩猟を主とし,焼畑農耕によるマニオク,バナナの栽培も行う。漁労の重要度は低い。ひとつの円形長屋から成るテリと呼ばれる村落の独立性は高く,規範的には内婚の単位となっている。村の内外の区別の強調は,死の原因をしばしば他村のシャーマンの攻撃と考える点にも現れる。村落間の戦争が頻繁な地域もあるが,反面,共同祭宴,交易,通婚等による村落間の同盟も見られる。この地域では村落の離合集散が激しい。
執筆者:原 毅彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報