改訂新版 世界大百科事典 「ユスティノス1世」の意味・わかりやすい解説
ユスティノス[1世]
Justinos Ⅰ
生没年:450ころ-527
ビザンティン帝国の皇帝。在位518-527年。マケドニアの農民の出身でコンスタンティノープルの近衛部隊に入隊し,後に部隊長に昇進。アナスタシオス帝の死去により老齢かつ無教養ながら,他に適当な候補者がいないままに推挙を受け即位。アビシニア(エチオピア)のアクスム王国との関係を開いたりもしたが,その9年の治政の最大の業績は正統信仰の確立であった。先帝の異端的傾向(単性論)を修正し,異端の迫害を開始。ローマ教皇ホルミスダスと和解,ゼノン帝の〈ヘノティコン(統一令)〉に端を発したローマ教会との断絶(アカキオスの分離)に終止符を打った(519)。老年であったため甥のユスティニアヌス(後の1世)を執政官や陸軍元帥に任じ,政務はもっぱら彼に任せた。
執筆者:和田 廣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報