日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノドサウルス」の意味・わかりやすい解説
ノドサウルス
のどさうるす
nodosaur
[学] Nodosaurus textilis
鳥盤目装盾(そうじゅん)類(亜目)エウリポッド類よろい竜類(下目)ノドサウルス科Nodosauridaeに属する恐竜。北アメリカの白亜紀前期~後期の、約1億1850万年~9655万年前の地層から産出したことが報告されている。全長約5.5メートルの草食恐竜。不完全な骨格と一部の装甲が発見されている。ノドサウルスは骨格が頑丈で、体形がどっしりしていた。頸(くび)から肩の上にかけては、やや大きいこぶ状の骨板が背を横切るように帯状に並んだものと、小骨片が規則的に帯状に並んだものとからなる。装甲板には骨質の突起、すなわちこぶ状の結節が数百もあり、属名は「こぶのトカゲ」を意味している。ノドサウルス科は、同じよろい竜類のアンキロサウルス科と比べると、体高が高く、体の横幅は狭く、四肢が長めである。頭部の幅は口先にかけて狭くなっており、全体としては小さい頭を示し、歯は貧弱というのが特徴である。重い装甲を支えるために肩と腰が力強く発達していた。装甲を構成する骨盤は中空でなく、中には骨が詰まっていた。アメリカのカンザス州では、数体のノドサウルス類が全部腹を上にした状態で海成層中から発見されたことがある。ノドサウルス類が同時に死んで、海に押し流されたのかもしれないし、それぞれの個体が死んでからいっしょになったのかもしれない。どちらにしても、陸から川に流されている間に、内臓が腐敗してガスが発生し、体が膨れあがる。体は装甲の重さのせいもあって背中のほうが重くなるので、背側が下にあおむけの姿勢になったまま漂流し、最後に腹側を上にして海底の泥の中に埋没し化石化して、その状態のまま産出したものと考えられる。ノドサウルス類の肩甲骨には筋肉が付着する突起があるが、この突起の位置は種により異なるので種を定義するうえで重要である。後方の胴椎(どうつい)はしばしば互いに癒合し、癒合仙椎をつくり、尾椎数は最大で40個ある。
[小畠郁生]