改訂新版 世界大百科事典 「ラエトリ」の意味・わかりやすい解説
ラエトリ
Laetoli
タンザニア北部,オルドバイ渓谷の南方50kmにある平地遺跡。430万~10万年前の地層が露出している。1930年代からオルドバイ渓谷の調査をしていたリーキーM.D.Leakey(妻)とリーキーL.S.B.Leakey(夫)によって1970年代から調査され,アウストラロピテクス・アファレンシス化石が発見されてきた。下顎骨(LH 4)はアファレンシスの模式標本である。最上位のガロバ層からは初期ホモ・サピエンスの頭骨(LH 18)が出土している。1972年には2列に連なる人類の足跡の化石が発見され,約350万年前に3人のアウストラロピテクス・アファレンシスが歩いた証拠と見なされた(1列は2人が前後して歩いた二重の足跡)。足跡では,親指が残りの指と平行であり,土踏まずが見られ,アーチ構造があったことがわかる。つまり,足跡を残した人々は基本的に現代人と変わらない二足歩行の機能をもっていたと考えられる。足跡化石は,調査の後に砂やシートをかけて保護されたが,アカシアの木が生えて傷んだので,1995-96年に再発掘し,入念に保存処理がなされた。2008年には,近くに小さな展示場が建てられ,マサイ族の人々が保護・管理にあたっている。
執筆者:馬場 悠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報