ラオメドン(その他表記)Laomedōn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラオメドン」の意味・わかりやすい解説

ラオメドン
Laomedōn

ギリシア神話の人物。イロスとエウリュディケの子で,父の跡を継いでトロイの王となり,ポセイドンアポロン両神に依頼し,市のまわりに堅固な城壁を築いてもらった。しかし完成後約束した報酬を払わなかったため,アポロンは疫病を,ポセイドンは海の怪物をトロイに送ったので,困惑したラオメドンは神託に従い,娘のヘシオネを海岸の岩に縛りつけ,怪物のえじきにしようとした。そこを通りかかったヘラクレスが怪物を退治し,ヘシオネを救ってくれたが,ラオメドンはこの娘の生命の恩人の英雄にも,報酬として約束したゼウスの贈り物の2頭の神馬を与えるのを拒否したので,怒ったヘラクレスは軍勢を率いてテラモンとともにトロイに攻め寄せ,市を攻略し,ラオメドンを,末子プリアモスを除く息子たちとともに殺し,プリアモスを後継者としてトロイの王位につけ,ヘシオネはテラモンの妻にしたという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のラオメドンの言及

【トロイア戦争】より

…彼の3人の息子はイリオン(トロイアの別称)の名のもとになったイロスIlos,アッサラコスAssarakos,ガニュメデスである。有名なトロイアの城壁は,イロスの息子ラオメドンLaomedōnの時代にアポロンとポセイドンとによって築かれたものという。だがトロイアの城は,この王の時代に英雄ヘラクレスによって最初の破壊を被った。…

※「ラオメドン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む