日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラクメ」の意味・わかりやすい解説
ラクメ
らくめ
Lakmé
フランスの作曲家ドリーブの三幕からなる歌劇。1883年、パリのオペラ・コミック座初演。台本はピエール・ロチの小説にヒントを得て、ゴンディネとジルが共作。イギリス統治下のインドを舞台に、バラモン僧の娘ラクメとイギリスの軍人ジェラルドの恋を描いた作品で、異教徒を憎むラクメの父ニラカンタの反対にあった二人は死を選び、物語は悲劇的な結末を迎える。ドリーブの音楽は東洋的な異国情緒を醸し出すのに成功しており、悲劇ではあるが、管弦楽の豊かな色彩と旋律の優美さが、この作品を華やかで快活なものに仕立てている。歌の技巧的な難所も数多く、とりわけ二幕でラクメが歌う「鐘の歌」が聞かせどころとして名高い。
[三宅幸夫]