日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラスカル」の意味・わかりやすい解説
ラスカル
らすかる
Rascal
アメリカの作家スターリング・ノースSterling North(1906―74)が1963年に発表した自伝的小説。作者11歳のときのウィスコンシンを舞台に、彼とアライグマのラスカルの出会いから別れまでを月ごとのエピソードを連ねて語っている。最大の魅力は、光るものの好きなラスカルがダイヤの指輪を失敬し、それをさらにカラスが巣にもっていき、少年が取り返すといったラスカルにまつわるできごとだが、のんきで心優しい父親ほかの登場人物たちや小さな町もくっきりと描写されていて、物語の牧歌的雰囲気を高めている。作者はこの小説の舞台ウィスコンシン生まれ。新聞記者、新聞の文芸欄の編集者などを勤めながら約30冊に及ぶ著作を残した。
[神宮輝夫]
『藤原英司訳『あらいぐまのラスカル』(『こども世界の文学9』1966・あかね書房)』