ウィスコンシン(読み)うぃすこんしん(英語表記)Wisconsin

翻訳|Wisconsin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィスコンシン」の意味・わかりやすい解説

ウィスコンシン
うぃすこんしん
Wisconsin

アメリカ合衆国、中北部の酪農州。面積14万5438平方キロメートル、人口536万3675(2000国勢調査速報値)。州都マディソン。北はスペリオル湖、東はミシガン湖、南はイリノイ州、西はセント・クロワ川とミシシッピ川を挟んでミネソタ州およびアイオワ州に接する。北部の高地から緩やかに傾斜し、南西部の低地を除いて全域が更新世(洪積世)に大陸氷河に覆われた結果、地表は波状をなし、堆石(たいせき)、沼沢が多い。とくに北部地域には、8500以上の湖がある。気候は湿潤大陸性で、寒冷で長い冬と、暑くて短い夏が特徴的である。ミシガン湖に接する東端部においては、比較的快適な気候がみられる。

 合衆国最大の酪農地域で、南部や中央平野部を中心に、ミルクやチーズの生産が盛んである。さらに干し草、牧草アルファルファの生産高は全米第1位、オート麦は4位。果物や野菜栽培も重要である。工業は、生産高では農業を上回り、その中心はミルウォーキーを軸としたミシガン湖岸域にある。機械、食品加工、金属、輸送機器、農機具などを産する。州面積の40%以上を占める豊かな森林資源を背景にして、州東部のグリーン湾周辺には製材製紙、パルプ産業などが立地し、これらの生産は全国でも上位を占める。砂礫(されき)、石灰鉄鉱石などの豊かな鉱物資源も、同州の工業発展に重要な役割を果たしてきた。

 1634年フランスの探検隊がグリーン湾を訪れたのを機に、その後、布教所や毛皮交易所が設立された。1763年にはイギリスに譲渡、83年アメリカ合衆国領、1836年マディソンを首都としてウィスコンシン準州が設立され、1848年30番目の独立州となった。このころからドイツ移民が急増し、1860年以降、ミルウォーキーでビール、食肉加工業が発達した。続いてスカンジナビアから酪農者が多く入植した。工業を含めた同州の急激な発展は、1920年代からである。美しい湖や川、深い森林に恵まれ、観光業の発展も目覚ましい。ウィスコンシン大学をはじめ、62の高等教育機関がある。

[作野和世]


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