改訂新版 世界大百科事典 「ラバノーテーション」の意味・わかりやすい解説
ラバノーテーション
Labanotation
舞踊の記譜法。ラバンによって考案された。1928年にラバンは《記された舞踊Schrifttanz》を著して,それ以前にあったものとは二つの点で異なる記譜法を発表した。つまり,縦の譜表を用い,中央の線から右には身体の右側の,左には左側の動きを記譜することと,記号の長さが運動の時間を表すことである。さらに身体を左右に分けるのみではなく,譜表の各行が身体の部分を示し,塗分けにより運動の起こる高さを,記号の形象により運動の方向を示す。このシステムは〈キネトグラフィー・ラバンKinetographie Laban〉と名づけられたが,アメリカではのちにラバノーテーションと呼ばれるようになった。この記譜法の特徴は,特定の舞踊様式にのみ通用するのではなく,日常生活の動作に至るまで記譜が可能だという点である。
執筆者:大谷 紀美子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報