日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランドルト」の意味・わかりやすい解説
ランドルト
らんどると
Hans Heinrich Landolt
(1831―1910)
ドイツの化学者。チューリヒに生まれる。生地の大学、ブレスラウ大学、ベルリン大学で学び、ハイデルベルク大学でブンゼンに師事したのち、ブレスラウ大学の私講師、ボン大学の化学教授(1867)となり、1869年アーヘンに新設の工科大学の化学教授、1891年ベルリン大学の教授となった。1905年に辞職。まじめな人柄、絶えず陽気で、口から葉巻を離したことのない愛煙家であった。科学的業績としては、有機化合物の分子屈折率(比屈折率を分子量で割った値)の綿密な研究、光学的活性および偏光計の応用面の研究で知られ、質量保存の法則の注意深い検討実験も有名である。また、ベルリンの農科大学物理教授ビョルシュタインRichard Börnstein(1852―1913)と協力して化学者・物理学者に重用される『物理化学表』Physikalisch-chemische Tabellenを著したことは特筆に値する。
[都築洋次郎]