飲み物がわかる辞典 「ランビック」の解説
ランビック【lambic(フランス)】
野生酵母を用いて発酵させる酸味の強いベルギー産のビール。通常ビールの製造では優良酵母を純粋培養して麦汁に加え、雑菌が入らないように外気を遮断して発酵させる。ランビックでは、煮沸を終えた麦汁をふたのない広く浅い発酵槽で一晩静置して冷まし、この間に室内に浮遊する野生酵母、醸造所に付いた酵母、乳酸菌などが入ってくるのを待つ。これを木樽で発酵・熟成させる。ランビックの酵母は上面発酵酵母であるが、上面発酵法では一般的に4日前後の一次発酵、1~2週間程度の二次発酵を行うのに対し、2~3年を要する。原材料の特徴としては、大麦麦芽に加え、発芽させない小麦を30%以上使用することと1年以上貯蔵した古いホップを大量に使用することが挙げられる。小麦は風味を生み出す。また、さまざまな微生物を取り込んで発酵させるランビックの製造においては、風味づけよりも重要な役割として、雑菌の繁殖を抑える効果を長期の熟成の間にわたって持続させるため、大量のホップを投入するが、それには抗菌成分は変わらないが苦み成分が抜けた古いホップのほうが望ましい。長期熟成を経たものと若いものをブレンドしてバランスのよい味わいにする「グースランビック」も一般的。また、これにさくらんぼ、木いちご、西洋すももなどの果実の風味を加えたものを「フルーツランビック」という。