ホップ(読み)ほっぷ(その他表記)hop

翻訳|hop

デジタル大辞泉 「ホップ」の意味・読み・例文・類語

ホップ(〈オランダ〉hop)

アサ科蔓性つるせい多年草。葉は卵形で3~5裂し、長い柄で対生する。雌雄異株で、夏に開花。雌花は淡緑色ほうに包まれ、多数集まって松かさ状に垂れる。苞の基部に分泌腺をもち、これに苦味があり、健胃剤ビールに利用。ヨーロッパに分布し、日本へは明治時代に導入。 秋》

ホップ(hop)

[名](スル)
跳ぶこと。はねること。
三段跳びの第一段目の跳躍。
野球で、投手の投げた球が打者の手もとで浮上すること。「内角高めにホップする」

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精選版 日本国語大辞典 「ホップ」の意味・読み・例文・類語

ホップ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] hop )
  2. 片足で跳(と)ぶこと。特に三段跳びの第一段、また、その跳び方。
    1. [初出の実例]「獰猛な登山靴を穿いて、ホップする度に対手(あいて)に砂をはね飛ばしてゐるのは」(出典:真理の春(1930)〈細田民樹〉森井コンツェルン)
  3. 野球で、投手の打者に投げた球が打者の手もとにきて浮き上がること。また、その球。
    1. [初出の実例]「ホップする直球」(出典:一刀斎は背番号6(1955)〈五味康祐〉四)

ホップ

  1. 〘 名詞 〙 ( [オランダ語] hop ) クワ科のつる性多年草。アジア・ヨーロッパの温帯に広く分布し、ビール製造のため栽培される。日本には明治の初め移入、現在、北海道・長野県・山梨県で栽培されている。茎は他物に巻きつき、長さ六~一二メートルになる。葉は対生し、掌状に三~七裂し縁は鋭い歯牙状。雌雄異株。雄花は淡黄緑色円錐花序に、雌花は緑色で球果状円錐花序に夏咲く。未受精の雌穂はビールに芳香と苦味をつけるのに用いたり健胃薬に用いたりする。忽布はあて字。《 季語・秋 》 〔遠西医方名物考(1822)〕

ホップ

  1. 〘 名詞 〙ホブ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホップ」の意味・わかりやすい解説

ホップ
ほっぷ
hop
[学] Humulus lupulus L.

クワ科(APG分類:アサ科)の多年生つる草。茎は他物に絡まって十数メートルに伸び、葉は深く3または5裂して葉身、葉柄ともに約10センチメートル。茎、葉ともに毛を密生する。雌雄異株で、花は夏に葉腋(ようえき)につく。雄花は淡緑色で、円錐(えんすい)花序に多くつき小さく、5弁で、雄しべは5本。雌花は長さ約3センチメートル、楕円(だえん)形の松かさ形の花穂となり、淡緑色で長い柄で垂れ下がる。各花は鱗(うろこ)状の包葉に包まれ、各包葉の基部に、多数の黄色で微小なホップ腺(せん)とよぶ分泌器官がある。包鱗(ほうりん)ごとに小さい2個の痩果(そうか)が秋に結実するが、栽培上は雌株のみを植えるので、結実することはない。

 ヨーロッパ、西アジア地域原産で、ヨーロッパでビールの発達とともに、その付香料として栽培が広まった。日本へは1876年(明治9)にアメリカやドイツから北海道に導入された。若い未受精の雌穂のホップ腺からは、ビール特有の苦味成分となるフムロン、ルプロンなどが分泌され、それらはまたビールに香りをつけたり、ビールを清澄させる効果ももつ。雌穂を摘み集め、火力で乾燥して保存する。この乾燥ホップは現在大部分はヨーロッパその他から輸入されているが、国内でも北海道、山形、岩手、長野県などで、ビール会社との契約栽培で生産されている。

 なおホップの雌穂には野生の酵母菌が多く繁殖するので、これをパン用酵母などに用いられる。

 ホップ畑は寒冷な山間地などにつくられ、鉄柱や鉄線を設置して、春に芽生えたつるを絡ませ、夏につるごと切って引き下ろし、雌穂を摘み取る。残株には施肥し、根の肥培に努めて、翌年の生産量の増大維持を図る。

[星川清親 2019年12月13日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ホップ」の意味・わかりやすい解説

ホップ
hop
Humulus lupulus L.

雌花をビール醸造に利用するために栽培するクワ科の多年草。原産地は西アジアとされるが,野生種は北半球のやや冷涼な温帯に広く分布し,日本ではカラハナソウvar.cordifolius Maxim.が中部地方以北の山地に自生している。茎はつる性で,春に地下茎から伸び出し,夏には6~8mになる。葉は先のとがった卵形で,普通掌状に3~5裂するが変異が多い。雌雄異株で,栽培されるのは雌株だけである。雌花序は,2~5cmほどの軸に40~60個の小花が集まってつき,まり状の房(毬花(きゆうか))となる。毬花は各枝先に10~20個,1本のつるに数千個つく。毬花の形や大きさ,数などは品種によって異なる。雌花が成熟すると各小花の基部にルプリンlupulinあるいはホップ粉hop-mealと呼ばれる黄色い粉ができる。栽培時の増殖は地下茎による。5~6mの棚をつくり,縄などを上からつるして,つるをからませる。背丈が高く,強風の被害を受けやすいので,棚はしっかり作り,防風網など風よけを十分にする。また,梅雨あけの花の時期に干害を受けやすいので,敷きわらや灌水で乾燥を防止する。開花後50日ほどの8月中・下旬に収穫する。上から縄を切ってつるを落とし,毬花を収穫して乾燥し,出荷する。日本ではほとんどがビール会社との契約栽培である。雌花のルプリンはビールに特有の苦みと香りを与え,タンパク質を沈殿させてにごりをおさえ,泡立ちをよくするほか,ビールの腐敗を防ぐ。ルプリンは薬用にもされ,また昔は毬花に着生する酵母をパンの発酵に用いた。
執筆者:



ホップ
Heinz Hopf
生没年:1894-1971

スイスの数学者。ドイツのブレスラウ(現,ポーランドのブロツワフ)に生まれた。第1次世界大戦中ドイツ軍に服務した後,ベルリン,ハイデルベルク,ゲッティンゲンの各大学で学んだ。1931年にH.ワイルを継いでチューリヒ工科大学教授となり,65年の退官までとどまった。ホモロジーやホモトピーに関して基礎的な業績をあげ,代数的位相幾何学の発展に大きな貢献をした。また,リーマン空間の微分幾何学的構造と位相的構造の関連を研究し,大域的微分幾何学を開拓した。なお,アレクサンドロフP.S.Aleksandrovとの共著《トポロジーⅠ》(1935)は位相幾何学の古典として有名である。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホップ」の意味・わかりやすい解説

ホップ
Humulus lupulus; hop

アサ科の多年生のつる草で,セイヨウカラハナソウともいう。ヨーロッパ原産で,ビールに苦みと芳香をつけるのに用いるため,世界中で栽培されている。日本でも明治初期に初めて栽培されて以来,現在ではビールの需要の増加に伴い本州中北部(長野県,山梨県,福島県,山形県)や北海道などの冷涼地で栽培されている。地上部は冬に枯れる。雌雄異株で,植物体全体にとげのような粗毛がある。葉は卵形ないし卵円形で掌状に三裂ないしは五裂し,あらい鋸歯があって,長い柄で対生する。夏の終わり頃に,淡黄色の花が咲く。雄花は茎の先端や葉腋に円錐花序をなして多数つき,雌花は長楕円形ないし卵形の松かさ状で葉腋に集まってつく。包葉や子房には黄色の腺点があり,これを火で乾燥させて用いる。果実は痩果で鱗包がある。日本にはホップと同一種の変種とされるカラハナソウH. lupulus var. cordifoliusが北海道や本州の山地に自生する。同じ属のカナムグラH. japonicusは日本では雑草とされているが,欧米では日よけがわりに栽培される。ホップはビールの苦み料のほかに,健胃,鎮静,利尿剤として薬用にもされる。

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百科事典マイペディア 「ホップ」の意味・わかりやすい解説

ホップ

クワ科の多年草。アサ科とされることもある。アジア,ヨーロッパに広く分布。茎はつる性で長さ10m以上にも達する。葉は対生し,3〜5裂した掌状あるいは心臓形。雌雄異株で雄花は穂状をなし黄緑色。栽培されるのは雌株だけで,雌花は球状に集合し,成熟した球果の外包,内包の表面に黄色の花粉状苦味質ルプリンを多数つける。これを収穫し,ビール醸造の香気と苦味づけ,健胃・鎮静剤として用いる。日本ではふつう棚仕立で栽培する。

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栄養・生化学辞典 「ホップ」の解説

ホップ

 [Humulus lupulus].イラクサ目アサ科ホップ属のつる性植物.雌花をとり,ビールに香りや苦味を与える目的で使う.

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とっさの日本語便利帳 「ホップ」の解説

ホップ

クワ科に属する蔓(つる)性植物。ビールに苦みや爽快な香りを与える。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内のホップの言及

【カナムグラ(葎草)】より

…【矢原 徹一】。。…

【ビール】より

…麦芽を主原料として醸造した,炭酸ガスを含むアルコール飲料で,ホップに由来する苦みを有し,持続性の泡を生ずる特徴がある。世界中で最も多く消費されている酒で,世界の1992年の製造量は1億1470万klであった。…

※「ホップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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