改訂新版 世界大百科事典 「ラン大聖堂」の意味・わかりやすい解説
ラン大聖堂 (ランだいせいどう)
Cathédrale, Laon
フランス北部,ランの大聖堂。正称はノートル・ダムNotre-Dame。初期ゴシック建築の代表例。パリのノートル・ダム大聖堂にやや先立って1160年ころ起工されたが,パリの静謐な構成とは対照的に,動的で起伏が多い。西正面の彫りの深い扉口はシャルトル大聖堂の側面装飾の手本となり,また建築家ビラール・ド・オヌクールの画帖に描きとめられた西正面双塔の形式とともに,とくにドイツのバンベルク大聖堂に強い影響を与えた。当初,大聖堂東部は半円形であったが,13世紀初期に袖廊(トランセプト)を張り出すと同時に矩形内陣に変え,イギリス風のプランに近づいた。内部は,大アーケードの上に階上廊(トリビューン)を設けた四層式構成をとり,六分リブ・ボールトが見られる。
執筆者:馬杉 宗夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報