ラン大聖堂(読み)ランだいせいどう(その他表記)Cathédrale, Laon

改訂新版 世界大百科事典 「ラン大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ラン大聖堂 (ランだいせいどう)
Cathédrale, Laon

フランス北部,ランの大聖堂正称はノートル・ダムNotre-Dame。初期ゴシック建築の代表例。パリのノートル・ダム大聖堂にやや先立って1160年ころ起工されたが,パリの静謐な構成とは対照的に,動的で起伏が多い。西正面の彫りの深い扉口はシャルトル大聖堂の側面装飾の手本となり,また建築家ビラール・ド・オヌクール画帖に描きとめられた西正面双塔の形式とともに,とくにドイツのバンベルク大聖堂に強い影響を与えた。当初,大聖堂東部は半円形であったが,13世紀初期に袖廊トランセプト)を張り出すと同時に矩形内陣に変え,イギリス風のプランに近づいた。内部は,大アーケードの上に階上廊トリビューン)を設けた四層式構成をとり,六分リブ・ボールトが見られる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラン大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ラン大聖堂
ランだいせいどう
La Cathédrale Notre-Dame, Laon

フランス北部のランにある,フランス初期ゴシック(→ゴシック建築)を代表する聖堂。正式名称はノートル=ダム大聖堂。1165年頃に着工,内陣は 1180年頃に,西ファサード(→ファサード)は 1190年頃,双塔は 1230年頃に完成,ほぼ竣工をみた。頭端分が平頭で長大な内陣をもつフランスでは異色な平面構成であり,内部は 4層構成で 6分ボールトがかけられている。塔は南と北に配されているが,当初は 7本の塔が建つ予定であった。ファサードは彫りが深くダイナミックな迫力がある。13世紀の建築ノートとして有名なビラール・ド・オヌクールの画帖(パリ国立図書館)には,鐘塔の平面と立面が写し取られている。

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