ゴシック建築(読み)ゴシックけんちく(英語表記)Gothic architecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴシック建築」の意味・わかりやすい解説

ゴシック建築
ゴシックけんちく
Gothic architecture

12世紀中葉より北フランスを中心に全ヨーロッパに広がり 15世紀ないしは 16世紀初頭まで続いた建築様式ゴシックとは,ゲルマン族の一種族ゴート族の野蛮な様式という意味で,ルネサンス期のイタリア人が侮蔑的に使った言葉に由来するが,ゴート族とは直接の関係はない。ゴシック様式とは元来聖堂建築の様式をさし,事実,発生の当初から建築が他のすべての美術に対して優位を保ち,これらを含むモニュメンタルな大芸術として発展してきている。フランスでは,12世紀中葉から末までを初期ゴシック,聖堂大芸術が完成される 12世紀末から 13世紀末頃までを盛期ゴシック,装飾的で華麗な変化をみせつつ聖堂建築から王侯貴族の宮殿建築へと範囲も広がってくる 13世紀末から 16世紀初頭までを後期ゴシックと呼ぶ。イギリスでは,初期イギリス様式,デコレーテッド様式,パーペンディキュラー様式などが生れ,これらはゴシック建築発展上の重要な位置を占めている。ゴシック建築の一般的な特色は,リブ・ボールトの発達を基本としている。その使用により,柱にボールト重量と横圧が伝えられ,壁面が開放されて採光面積が多くなり,ステンドグラスの芸術を生んだ。著しく線的な表現が強まり,空間の垂直性が強調されたのがゴシックの聖堂建築である。また尖頭ボールトの使用により広く高い尖頭アーチ開口部が形成されたが,この尖頭アーチはゴシック様式のシンボルとなり,線的な構成を求めない地域でも広く用いられた。

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