日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラートケ」の意味・わかりやすい解説
ラートケ
らーとけ
Martin Heinrich Rathke
(1793―1860)
ドイツの発生学・解剖学者。ケーニヒスベルク(現、ロシア領カリーニングラード)に生まれ、ゲッティンゲン大学で博物学と医学を修めた。1825年よりダンツィヒ(現、ポーランドのグダニスク)市立病院、1829年よりドルパト大学教授を経て、K・E・von・ベーアの後継者として1835年よりケーニヒスベルク大学教授。鳥類・哺乳(ほにゅう)類胚(はい)における鰓裂(さいれつ)と鰓弓の発見、脊椎(せきつい)動物の下垂体が口蓋(こうがい)上皮の陥入部(ラトケ嚢(のう))から発生するという研究で有名である。変態にも興味をもち、えら、オタマジャクシの尾、中腎(ちゅうじん)(ウォルフ体)の退化過程を調べた業績がある。主著に『ヒトおよび動物の形態学・発生学に関する研究』(1832~1833)、『脊椎動物発生学』(1861)などがある。
[川島誠一郎]