改訂新版 世界大百科事典 「リューサイト」の意味・わかりやすい解説
リューサイト
leucite
白リュウ(榴)石ともいう。化学組成KAlSi2O6,準長石類に分類される鉱物。約605℃を転移点に高温型は等軸,低温型は正方晶系(偽等軸晶系)。ふつう{211}の偏菱二十四面体の自形結晶として産出するが,これは晶出時の高温型の外形を残したもので,常温では常に低温型に転移,鏡下で集片双晶を示す。白~灰色,透明結晶はまれ。へき開{110},断口貝殻状,モース硬度5.5~6,比重2.5,屈折率1.508~1.509,複屈折は非常に弱い。テクトケイ酸塩に属し(Si,Al)O4四面体が三次元的につながった構造中の最大の間隙にKが入る。方沸石analciteと外形,結晶構造とも類似する。Kに富むアルカリ火山岩の斑晶として産出し,イタリアのベスビオ火山に多産。偽白リュウ石pseudoleuciteは変質の結果ネフェリン,方沸石,正長石の混合物になったものをさす。
執筆者:小沢 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報