リューディン(その他表記)Ernst Rüdin

改訂新版 世界大百科事典 「リューディン」の意味・わかりやすい解説

リューディン
Ernst Rüdin
生没年:1874-1952

ドイツの遺伝精神医学者。スイスに生まれ,ヨーロッパ各地の大学で医学と遺伝学を学び,1907年ミュンヘン大学のクレペリンに師事,09年《無期囚の精神障害》に関する論文で教授資格を取得。17年ミュンヘンのドイツ精神医学研究所の遺伝学部長,25年バーゼル大学精神科教授,28年ミュンヘンのカイザーウィルヘルム協会の遺伝研究所所長になった。彼は精神障害の原因として遺伝因を重視してその解明に努め,科学的な遺伝精神医学の開拓者となった。ミュンヘンの彼の研究所には今日の世界的な学者が数多く集まった。《分裂病の遺伝と発生》(1916)には現在の遺伝精神医学研究の中心的問題がほとんど漏れなく示されている。また双生児研究を精神医学領域に導入し,教授資格論文の中でとりあげられた初老期赦免妄想初老期の被拘禁者に見られる妄想で,自分が恩赦によって釈放されると考えるもの)は犯罪精神医学上名高い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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