改訂新版 世界大百科事典 「リョウ沸石」の意味・わかりやすい解説
リョウ(菱)沸石 (りょうふっせき)
chabazite
沸石の一種で立方体に近い菱面体の外形に特徴がある。化学成分は(Ca,Na2)(Al2Si4O12)・6H2O。三方晶系に属し,六面体の外形を示すが,粒状,塊状となる場合もある。比重2.05~2.10,モース硬度4.5。無色,白色,淡灰色,帯黄色,帯緑色,帯紅色を呈し,ガラス光沢がある。Ca,Naの全域にわたる固溶体を形成する。分解した安山岩,玄武岩などの空隙中に他の沸石や方解石などとともに良好な結晶として産出することが多い。熱水性鉱床の母岩中に脈状となり,また花コウ岩ペグマタイトの末期晶出鉱物としても産出する。火山ガラス層の続成作用によって生成する場合もあり,産出量が多い場合は,ガス体の吸着物として利用される例もみられる。
執筆者:湊 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報