三方晶系(読み)サンボウショウケイ(その他表記)trigonal system

デジタル大辞泉 「三方晶系」の意味・読み・例文・類語

さんぼう‐しょうけい〔サンバウシヤウケイ〕【三方晶系】

結晶系の一。長さの等しい3本の対称軸が互いに120度で交わり、その交点1本の垂直な軸が交わる結晶軸をもつもの。電気石方解石などにみられる。

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精選版 日本国語大辞典 「三方晶系」の意味・読み・例文・類語

さんぼう‐しょうけいサンバウシャウケイ【三方晶系】

  1. 〘 名詞 〙晶系一つ。三回対称軸の主軸と、これと直交する平面内で一二〇度で交わる三つの等しい長さの軸をもつ結晶をいう。六方晶系一種として取り扱われることもある。さんぽうしょうけい。三方結晶。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三方晶系」の意味・わかりやすい解説

三方晶系
さんぽうしょうけい
trigonal system

結晶系の一つ。三方(さんぼう)晶系ともいう。一平面内で120度で交わる三つの等しい長さの軸と、これらのつくる平面に直交する異なった長さの軸を軸配置としてもつことは六方晶系と同じである。しかし、平面に直交する軸が3回回転軸あるいは3回回反軸であることが、六方晶系と異なる。格子定数にはabcαβ=90゜,γ=120゜の関係が成立する。別にabcαβγ=90゜の関係が成立する菱面体(りょうめんたい)晶系の単位格子をとることもできる。

[岩本振武 2015年7月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三方晶系」の意味・わかりやすい解説

三方晶系
さんぽうしょうけい
trigonal system

結晶系の1つ。六方晶系に含められることがある。菱面体晶系とも呼ばれる。結晶軸の1つ ( c 軸) が3回の回転軸または回反軸であり,他の2つの結晶軸は c 軸に垂直で互いに 120゜の角をなす。軸比は abc ,軸角はα=β=90゜,γ=120゜で,六方晶系に等しく,同じように扱われる。また菱面体の形に結晶軸を選ぶこともあり,abc ,α=β=γ≠90° である。α水晶,方解石,ルビー,ビスマスなどがこれに属する。屈折率熱膨張などの物理的性質c 軸に平行か垂直かによって異なり,単軸結晶である。

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化学辞典 第2版 「三方晶系」の解説

三方晶系
サンポウショウケイ
trigonal system

結晶系の一種.結晶が点群対称要素としてただ1本だけの3回回転軸または3回回反軸をもつものをいう.関係点群は5種類ある.ブラベ格子としては,単純六方格子をとるものとりょう面体格子(abc,α = β = γ,一般にα ≠ 90°)をとるものの2種類あって,どちらも三方晶系に含められているが,とくに後者をりょう面対称系とよんで区別することがある.なお,以前には六方格子のほうの三方晶系は六方晶系に含めていたことがある.

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