続成作用(読み)ゾクセイサヨウ(その他表記)diagenesis

翻訳|diagenesis

デジタル大辞泉 「続成作用」の意味・読み・例文・類語

ぞくせい‐さよう【続成作用】

地学で、堆積物固結して堆積岩になる作用。堆積後、セメント化や再結晶化などによって物理的・化学的に固結する一連の過程をさす。継変作用ダイアジェネシス

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精選版 日本国語大辞典 「続成作用」の意味・読み・例文・類語

ぞくせい‐さよう【続成作用】

  1. 〘 名詞 〙 地学で、堆積(たいせき)物が固結して堆積岩になるまでの化学的、物理的変化過程の総称。堆積物が化学的に安定した状態に向かう一連の作用。物質相互を固着するセメント作用をはじめ、溶解・圧縮・凝固・結晶・交代などの作用が含まれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「続成作用」の意味・わかりやすい解説

続成作用
ぞくせいさよう
diagenesis

広義には堆積(たいせき)物が堆積盆で沈積後、固結して堆積岩になる過程をいう。荷重による圧密、粒子を結合させる膠結(こうけつ)、鉱物粒の分解、粒子などの再動、自生鉱物の生成、化学的な置換造岩鉱物の相変化、有機物の分解および重合などを含む。これらは、埋没による温度・圧力の上昇や岩石溶液反応による化学的変化および物理的変化によって引き起こされるものである。

 続成作用と、温度・圧力の上昇による変成作用との境界は、人為的に決められたもので、研究者の間でも一致した見解は得られていない。

[伊藤谷生・村田明広]

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改訂新版 世界大百科事典 「続成作用」の意味・わかりやすい解説

続成作用 (ぞくせいさよう)
diagenesis

1868年,ドイツの地質学者ギュンベルC.W.von Gümbel(1823-98)が提唱した用語で,堆積物が沈積してから固化して岩石になるまでの物理・化学的変化過程を意味する。沈積直後の堆積物は間隙に富み,多量の水を含むが,堆積物がしだいに地下深くに埋没され,時間が経過すると,圧力,温度が上昇していく。この過程で堆積物の粒子間隙が減少し,間隙を満たしていた水の移動が起きる。さらに粒子相互の接触面積が広がり,その接触部は応力が集中するため選択的に溶解(圧力溶解作用)することになり,粒子相互の接触は凹凸または縫合関係を示す。溶解により水に溶けた成分は一定の物理・化学的条件のもとで溶解点の近くでも沈殿し,粒子の二次的成長と粒子間隙の充てんが起きる。こうして堆積物の間隙が減少する圧密作用と,粒子を互いに結びつけ,あるいは間隙をうめる膠結(こうけつ)作用が進行する。さらに温度,圧力が増すと既存物質の再結晶作用,鉱物が他の物質によって置き換えられる交代作用,新しい鉱物が生成する自生作用などの諸現象がみられるようになる。堆積物がさらに深く,圧力と温度もより高い場所に長く置かれれば,これらの作用が継続的に進行して固結し,堆積岩から変成岩へと変わっていく。したがって,続成作用と変成作用との間を厳密に区別することはむずかしい。一般的に続成作用が起こっている環境は温度200℃,圧力2kbarぐらいまでとみられているが,この領域も本質的な意味はない。
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岩石学辞典 「続成作用」の解説

続成作用

堆積物が溜まった後に影響を与えた作用を集積したもの.しかし地質学者によってはこの過程は石化作用が起こる以前のものに限定して用いている.ギュンベルはこの語に変成作用による変化を含めたが[Gümbel : 1868],ウォルターは変成作用の起こる以前の過程に限定し,これが一般に使われている[Walther : 1894, Larsen & Chilingar : 1967].地表に近い条件で起こる岩石の再結晶作用に用いる場合がある[Mason : 1978].一般には堆積物が堆積中および堆積後に,化学的,物理的変化によって固結した堆積岩に変わる現象に用い,積載荷重で生じた圧密による粒子間隙の減少,粒子間隙への物質の沈着など粒子相互を結合する膠結作用,循環水によって化学組成が変化する交代作用などの諸作用が含まれる.続成作用は地表近くで起こる現象で,広い意味では変成作用の一部に含まれ,両者は本質的には連続しているが,通常は常温に近い条件で起こる続成作用と,高温高圧の下で起こる変成作用は区別して扱われる[片山ほか : 1970].一方,風化作用は岩石がゆるく分解し変化する過程なので,普通は続成作用に風化作用は含まれない.ギリシャ語のdiaは通して,genesisは起源の意味.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「続成作用」の意味・わかりやすい解説

続成作用
ぞくせいさよう
diagenesis

堆積物から固結した堆積岩が形成される過程で生じる諸変化の総称。未固結の堆積物の間隙の中には,一般に種々の溶質を含んだ間隙水が含まれている。これが堆積物をつくる粒子との間で化学変化を起す。同時に全体の地圧などによって圧縮され,地熱による温度の上昇などによって間隙水は脱水され,濃い溶液となって化学変化が一層促進される。この間に物質の置換や弱い再結晶作用などが生じて,堆積物が次第に固結していく。続成作用によって粘土泥岩から粘板岩へと変る。 (→固結作用 )  

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化学辞典 第2版 「続成作用」の解説

続成作用
ゾクセイサヨウ
diagenesis

堆積物は堆積後しだいに凝固,膠(こう)結,弱い再結晶などを受けてたい積岩になる.この固化してたい積岩をつくる作用をいう.続成作用によって礫(れき)は礫岩に,砂は砂岩に,粘土は泥岩またはけつ岩にかわる.[別用語参照]変成作用

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百科事典マイペディア 「続成作用」の意味・わかりやすい解説

続成作用【ぞくせいさよう】

石化作用とも。堆積物を固結させ堆積岩に変化させる作用。堆積物が堆積岩に変わるまでには,荷重によって圧力と温度が上昇し,堆積物の粒子間の隙間が狭くなる(圧密作用)とともに粒子間の水が脱水されて方解石などの鉱物が沈殿し(セメント化作用),さらに堆積物粒子が溶解・再結晶するなどの変化が起こるが,続成作用はその総称。圧力や温度がさらに上昇すると広義の変成作用に移行する。

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