リンゴワタムシ(読み)りんごわたむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンゴワタムシ」の意味・わかりやすい解説

リンゴワタムシ
りんごわたむし / 林檎綿虫
[学] Eriosoma lanigera

昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目アブラムシ科Aphididaeに属する昆虫。リンゴ害虫として有名。有翅の胎生雌は体長約2.1ミリメートル、触角は6節からなり、口吻(こうふん)は長く中脚基部を越えて伸びる。角状管はわずかに隆起している程度である。尾片は半円形。無翅の胎生雌の体表には多くの綿のような白色のろう質物を装う。口吻はさらに長く、後脚基部を越える。北日本を中心に広く分布し、越冬態は単性生殖(胎生)世代の成虫。有性生殖世代にリンゴ、ときにニレに寄生する。

 有翅虫は晩秋に出現し、飛ぶと雪や綿くずに似ている。そのため、ユキムシ(雪虫)という名で親しまれている。

[林 正美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンゴワタムシ」の意味・わかりやすい解説

リンゴワタムシ
Eriosoma lanigera; wooly apple aphid

半翅目同翅亜目ワタアブラムシ科。有翅型と無翅型がある。有翅型は体長 2mm内外,暗赤褐色で腹部は大きく,腹端近くに角状管がわずかに突出する。体は多量の綿状の白色ろう物質におおわれる。無翅型は体長 3mm内外で,花形のよく発達したろう板がある。複眼は3個の個眼を有するのみ。リンゴの害虫として有名で,ニレにも移住する。晩秋に有翅型が飛ぶさまは目につきやすく,雪虫,綿虫の名でよく知られる。世界各地に産し,近縁種が多い。 (→同翅類 , 半翅類 )

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世界大百科事典(旧版)内のリンゴワタムシの言及

【天敵】より

…これまで農作物害虫などの生物的防除に成功している天敵は,特定の害虫だけを攻撃する寄生バチや寄生バエがほとんどである。日本において生物的防除によい効果をあげたとされているものとしては,上記のベダリアテントウのほかにリンゴワタムシに対するワタムシヤドリコバチ,ミカントゲコナジラミに対するシルベストリコバチが挙げられるが,最近中国より導入されたヤノネキイロコバチもヤノネカイガラムシの防除に有効なことがわかってきている。 防除に生物を使うという意味で,害虫や害獣に寄生してそれらをたおす病菌やウイルスなども天敵と呼ばれることがあり,雑草を昆虫や魚を利用して退治することも生物的防除と呼ばれる(総合防除)。…

※「リンゴワタムシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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