改訂新版 世界大百科事典 「レオノーウェンス」の意味・わかりやすい解説
レオノーウェンス
Anna Harriet Leonowens
生没年:1831-1914
タイのモンクット王が1862年にシンガポールからバンコクへ招聘したイギリス人の宮廷英語教師。1867年まで王子たちに英語を教え,少年時代のチュラロンコンの西洋文化理解に大きな影響を与えたとされる人物。自伝《シャム宮廷のイギリス人教師》(1870)に基づいたランドンMargaret Landonの小説《アンナとシャム王》(1945)はミュージカル《王様と私》に脚色され,ゆがんだモンクット像を世に広めた。1834年ウェールズ生れという定説は,最近の研究で1831年インド生れとされ,また夫も少佐でなく事務員であったことが明らかとなるなど,これまで信じられていた自伝の記述が訂正されるにいたっている。
執筆者:石井 米雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報