日本大百科全書(ニッポニカ) 「レクスプレス」の意味・わかりやすい解説
レクスプレス
れくすぷれす
L'Express
フランスの週刊誌。1953年5月、ジャン・ジャック・セルバン・シュレベールによって経済雑誌『エコー』Échosの別冊として創刊され、64年からはアメリカン・スタイルのニュース・マガジンに変貌(へんぼう)、進歩的なオピニオン誌として第一線の地位を保持してきた。モーリヤック、カミュ、ミッテランなど、同誌と歩みをともにした文人たちの名は忘れがたい。70年にセルバン・シュレベールが去り、71年には編集部のデスクたちが反旗を翻して同類の雑誌『ル・ポアン』を創刊するという、いわゆる「レクスプレスの危機」を迎える。77年、フランス出身のイギリス人企業家ジェームズ・ゴールドスミスSir James Michael Goldsmith(1933―97)によって株式の45%を買収され、翌年編集長がフランソアーズ・ジルーFrançoise Giroudからジャン・フランソア・ルベルJean-François Revelへと交代したのを機に、それまでの左翼寄り路線から穏健な保守主義の雑誌へと方向転換して今日に至っている。平均発行部数は約70万部(2000)。
[矢野浩三郎]