日本大百科全書(ニッポニカ) 「レミニセンス」の意味・わかりやすい解説
レミニセンス
れみにせんす
reminiscence
記憶の保持量は記銘後、時間経過に従って減少するが、記銘直後よりも一定時間経過後に増加することがある。これをレミニセンスといい、二つの種類が認められている。無意味材料の記憶では、記銘後、数分程度の時間でこの現象が生じる。これをワード・ホブランド現象Ward-Hovland phenomenonという。有意味材料の記憶では、記銘後、数日後に生じ、これはバラード・ウィリアムズ現象Ballard-Williams phenomenonといわれる。レミニセンスは原学習(記憶)の学習程度にも依存し、中程度の場合、分散学習よりも集中学習の場合生じやすい。学習は興奮―抑制の機制をもち、抑制効果は記銘直後よりも時間経過にしたがって弱まるという解釈もなされている。
[小川 隆]