化学辞典 第2版 「レーザー脱離」の解説
レーザー脱離
レーザーダツリ
laser desorption
試料にパルスレーザーを照射し,原子や分子を脱離させること.レーザーの強度が大きいときにはイオン化やアブレーションが起こる.高融点の物質でも試料自体の温度を上げることなく脱離できる特徴があり,薄膜生成などに用いられている.また,たとえば,グリセリンのマトリックスにタンパク質試料をまぜ,パルスレーザーを照射することによってタンパク質を壊さずにイオン化する方法は,マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(matrix assisted laser desorption ionization,MALDI),あるいはソフトレーザー脱離法(soft laser desorption)とよばれる.これと飛行時間型質量分析計との組合せによりタンパク質の質量が容易に測定できる.この方法を発見した田中耕一には,2002年にノーベル化学賞が贈られた.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報