日本大百科全書(ニッポニカ) 「ろう接」の意味・わかりやすい解説
ろう接
ろうせつ
soldering
被接合物(母材)を溶融させることなく、母材間にろうとよばれる溶融金属ないし合金を添加し、母材間のぬれおよび流れを利用して接合する方法。ろうの融点は母材のそれよりも低く、450℃以上の場合を硬ろう付け、それ以下の場合を軟ろう付けと称している。ろう付けの長所は接合温度を自由に選べること、精密接合ができることである。接合部の強さは他の溶接の場合よりもやや劣る欠点はあるが、手軽に金属を接合できるので古くから日用品、美術工芸品、歯科用関係で用いられてきたが、最近では電子機器、航空機、原子力工業、化学機器関係で広く実用化されている。硬ろうの種類としてはリン銅ろう、銀ろう、黄銅ろう、ニッケルろう、金ろうなど多種あり、ガス炎、加熱炉などで加熱される。軟ろうは通称「はんだ」といわれ、亜鉛、鉛、スズあるいはスズ‐鉛合金など多種ある。軟ろうは硬ろうに比べて強さがはるかに劣るが、融点が低く、はんだごてを用いて容易に接合できる利点がある。
[桑名 武]