鉛合金(読み)なまりごうきん(その他表記)lead alloy

改訂新版 世界大百科事典 「鉛合金」の意味・わかりやすい解説

鉛合金 (なまりごうきん)
lead alloy

鉛がもつ種々の特性を生かし,使用目的に合うように強さや硬さなどの不足する点を補った,鉛を成分の一つとする合金総称。広く用いられているのが鉛-アンチモンPb-Sb合金で,実用鉛合金中で硬度が最も高く,硬鉛と呼ばれる。機械的性質,耐食性にすぐれる。Sbの範囲には種々のものがあり,板,管などとして用いられ,化学工業用装置,継手などにもされる。水道管にはSb約1%の合金,自動車用蓄電池には5%程度の合金が使われる。鉛-スズPb-Sn系合金ははんだ軸受合金などの主体をなす。Sn10~25%の合金はターンメタルと呼ばれ,これを鋼板上に被覆したものが防食材料として使用される。ホワイトメタルはPb-Sn-Sb合金で,鉛の潤滑能を生かした重要な軸受合金である。活字合金は鋳造性がよく,正確な文字の形が作れることが必要であるが,代表的な組成はPb85%,Sb11%,Sn4%の三元共晶である。また融点が低いことを特徴とする易融合金にも鉛合金がある。ナトリウムリチウムカルシウムバリウムなど,アルカリ金属,アルカリ土類金属を含む合金は時効により硬化するので,軸受材料,ケーブル被覆などに使用される。鉛の柔軟さの補強のために分散強化,繊維強化の研究も行われており,強化鉛複合材は防音,防振材としての応用も考えられている。
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