はんだ(その他表記)solder

翻訳|solder

日本大百科全書(ニッポニカ) 「はんだ」の意味・わかりやすい解説

はんだ
はんだ / 半田
solder

融点の低いろう付け用合金総称軟ろうともいう。はんだ材として必要な性質は、接合する金属とのなじみ(ぬれ性)がよく、適当な溶融温度と流動性があり、毛細管現象で十分に広がり、溶融状態で均一安定であることなどである。普通に用いられるはんだは鉛‐スズ合金であり、スズが接着を受け持ち、鉛は強さの増加と融点の低下の役割を果たす。規格には5~98%スズのものがあるが、もっとも普通に用いられるものはスズ50%を含むもの(完全凝固温度約183℃、完全溶融温度約215℃)である。95%スズはんだ(183~224℃)は特殊な電子工業部品や食品に接する部分の接合に用いられる。60~65%スズはんだは融点がもっとも低い(183~190℃)ので、ぬれ性がよく、非常に狭いすきまの精密はんだとして用いられる。鉛‐スズ系はんだの最高使用温度はいずれも約150℃であり、接合部がこれより高い温度で使用される場合には融点の高い硬ろうを使用する必要がある。このほかビスマスインジウムを加えて融点を100℃以下とした低融点はんだや、亜鉛、スズ、カドミウム主成分とするアルミはんだなどもある。近年環境問題への配慮から、鉛を含まないはんだ合金(lead-free solder)が開発され、その利用が急速に増している。

[及川 洪]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「はんだ」の解説

はんだ
ハンダ
solder, soft solder

スズ,鉛,あるいは亜鉛を主成分とするPb-Sn,Pb-Sn-Sb,Pb-Sn-Cd,Zn-Cdなどの軟ろう.はんだは銅,黄銅青銅,鉄,亜鉛,鉛などの金属製品の接合用として,機械,電機などの部門に広く利用されている.はんだは溶融温度が低く,ろう接作業が非常に容易で,ろう接にははんだごてを使用する.Pb-Sn合金系はんだを表に示す.スズの多いものほど高価になるが,電気部品のろう接にはスズの多いものを用いる.また,はんだのろう接面上の伸びを良好にするためにカドミウムを含んだものや,溶融温度を下げるためにビスマスを含んだもの,高温用のZn-Cd系などがある.近年,鉛の毒性が問題となり,鉛を含まないはんだ(鉛フリーはんだ)の開発が進められている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「はんだ」の意味・わかりやすい解説

はんだ

半田とも書く。本来は融点が低い鑞合金(軟鑞)のことをさす。金属接合用のスズ‐鉛合金。スズ63%の共晶点のものが融点最低で182℃であるが,JISではスズ95〜20%の13種を規定。一般用にはスズ40〜50%,電気用には60%程度,食器用では90%以上のものを使用。棒状,線状,粉状,ペースト状などがある。→はんだ付け
→関連項目鋳掛屋硬鑞接着剤

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「はんだ」の意味・わかりやすい解説

はんだ(半田)
はんだ
soft solder

最も広く使われる低融点鑞 (ろう) 合金。鉛 Pb-スズ Sn系を主調とする。 Sn20~95%の広い組成範囲で多くの種類があり,JISでは 11種に分類している。鉛工用,ブリキ用,食器および工芸用の3種が古くから使われてきたが,近年ではエレクトロニクス用の伸びが大きい。溶剤に塩化亜鉛液またはこれを混ぜたペーストを使う (→ろうつぎ〈鑞接〉) 。

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