ワタン(英語表記)waṭan

改訂新版 世界大百科事典 「ワタン」の意味・わかりやすい解説

ワタン
waṭan

郷土〉あるいは〈祖国〉を意味するアラビア語近代アラブの政治や文化にかかわる基本概念の一つ。近代のアラブ民族主義成立と展開を通じてカウムqawmが宗教言語・文化に基づいて形成される〈民族〉という意味を与えられるようになってきたのに対し,ワタンは歴史的・社会的に形成された〈国民〉とその生活および運動の場としての〈国土〉を指すようになった。ワタンに基礎を置く民族主義としてのワタニーヤ(ワタン主義)の課題は,エジプト人やパレスティナ人が特に重視するところである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のワタンの言及

【タフターウィー】より

…帰国後,《官報al‐Waqā’i‘ al‐miṣrīya》の編集長,翻訳局長などを務め,ナポレオン法典やモンテスキューの著作などを翻訳し,ブーラークBūlāq印刷所からイブン・ハルドゥーンなどのアラビア語古典を出版した。また自ら精力的な著作活動を行って,イスラムの伝統的概念を駆使しつつ,伝統的ウンマ理念に代えてワタン(祖国)と新たなウンマ理念(国民)を強調するなどきわめて開明的な思想を展開した。【加藤 博】。…

※「ワタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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